経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 · MD&A
3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。①財政状態及び経営成績の状況当事業年度(2019年4月1日から2020年3月31日)における我が国経済は、米中貿易摩擦の激化や、英国の欧州連合(EU)からの離脱問題などのリスクによる不透明感、消費税増税の反動減による個人消費の落ち込みや、台風など自然災害によるマイナス影響はあったものの、人手不足を背景に雇用・所得環境の改善が続き、国内景気は緩やかな回復基調が続いていました。しかしながら、2020年に入り、オリンピック・イヤーを迎えて盛り上がりを見せた矢先、中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎が世界規模で拡大し、先行きへの不安感から世界の金融・証券市場で急速に株安が進むなど、リーマン・ショックを上回るコロナショックとして大きな混乱をもたらしました。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、世界各国・地域で入国や行動を制限する動きが広がったことで人・モノの動きが滞り、実体経済へも急速に悪影響を及ぼし始めました。再生医療・細胞治療分野では、がん免疫療法として注目を集めているCAR-T細胞治療薬(ノバルティスファーマ販売名:キムリア)が2019年5月に保険収載され(価格は1回3,349万円)、慢性動脈閉そく症による皮膚潰瘍治療を目的とした再生医療等製品(アンジェス 販売名:コラテジェン)が、わが国初の遺伝子治療用製品として同年8月に保険収載されました(価格は1回60万円)。また、2020年3月には、角膜上皮幹細胞疲弊症治療を目的とした再生医療等製品(当社 販売名:ネピック)と、脊髄性筋萎縮症に対する遺伝子治療用製品(ノバルティスファーマ 販売名:ゾルゲンスマ)が承認されました。いくらかの開発品目で申請を取り下げた製品もありますが、承認された製品のような革新的な医療技術が治療に適用され、患者への福音となることへの期待が高まっています。我が国の新たな再生医療関連規制・制度について、諸外国から注目されるようになってきました。とりわけ、再生医療等製品の早期承認制度である『条件および期限付き承認』には様々な意見が寄せられています。さらに、これらの高度医療が保険財源を圧迫するとの懸念も高まっています。再生医療がより現実になるにつれ、解決すべき課題も徐々に顕在化してきました。医療環境については、2020年に入って以降、新型コロナウイルス感染者の急激な増加や医療従事者の感染等による医療崩壊が懸念されており、その他の疾患治療への影響も深刻になってきています。早期に新型コロナウイルスに対する治療方法の確立が望まれる中、5月には国内初の新型コロナウイルス治療薬としてエボラ出血熱の既存治療薬「レムデシビル」(ギリアド・サイエンシズ)が特例承認されました。抗インフルエンザ薬の「アビガン」も治療薬候補として注目され、国内での承認プロセスが急ピッチで進められています。このような状況の下、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。 a. 財政状態 当事業年度末において、総資産は8,451,563千円(前事業年度末と比べ300,408千円減少)、負債は820,539千円(前事業年度末と比べ13,309千円減少)、純資産は7,631,024千円(前事業年度末と比べ287,099千円減少)となりました。 当事業年度における資産、負債及び純資産の状態に関する分析は以下のとおりであります。(流動資産) 当事業年度末における流動資産の残高は6,816,839千円となり、前事業年度末から207,363千円減少いたしました。この主な要因は、当期純損失による現金及び預金の残高が減少したことによるものであります。(固定資産) 当事業年度末における固定資産の残高は1,634,714千円となり、前事業年度末から93,016千円減少いたしました。この主な要因は、繰延税金資産の取崩し及び減価償却によるものであります。(流動負債) 当事業年度末における流動負債の残高は783,961千円となり、前事業年度末から11,940千円減少いたしました。この主な要因は、未払金及び前受金等の減少によるものであります。(固定負債) 当事業年度末における固定負債の残高は36,578千円となり、前事業年度末から1,368千円減少いたしました。この主な要因は、長期リース債務の減少によるものであります。(純資産)当事業年度末における純資産の残高は7,631,024千円となり、前事業年度末から287,099千円減少いたしました。この主な要因は、当期純損失287,099千円の計上によるものであります。 b. 経営成績当事業年度における売上高は、研究開発支援事業の売上が好調に推移したものの、再生医療製品事業及び再生医療受託事業が減少し、2,309,851千円(前年同期比2.0%減)となりました。営業損失は235,178千円(前年同期は349,745千円の営業損失)となり、自家CAR-T細胞治療の導入一時金を支払った前年同期に比べ改善しました。経常損失は229,777千円(前年同期は339,631千円の経常損失)、当期純損失は287,099千円(前年同期は333,248千円の当期純損失)となりました。なお、当事業年度における新型コロナウイルス感染症の影響は限定的であり軽微であると判断しております。セグメント別では、再生医療製品事業の売上高は、1,356,070千円(前年同期比3.4%減)、再生医療受託事業の売上高は、813,450千円(前年同期比2.7%減)、